胸スポンサー売上ランキング 編集部解説

胸スポンサー売上ランキングから見えてきた、Bリーグ55クラブの意外な現在地

全55クラブの胸スポンサー企業を売上高で並べると、カテゴリーや強さとは別の景色が見えてきました。

ランキング本表(1位〜48位+ランク外7クラブ)を見る →B.PREMIER・B.ONE・B.NEXT 全55クラブの胸スポンサー企業と直近決算の売上高を一覧掲載しています。

B.PREMIER、B.ONE、B.NEXTに所属する全55クラブの「ユニホーム胸スポンサー」を調べ、その企業の売上高を並べてみました。

最初に断っておきたいのは、これはスポンサー料のランキングではないということです。

胸スポンサー企業がクラブにいくら支払っているのか、その金額はほとんど公表されていません。今回比較しているのは、あくまでスポンサーとなっている企業そのものの売上規模です。

つまり、「1位のクラブが最も多くスポンサー料をもらっている」という意味ではありません。

それでも48クラブを1位から並べてみると、Bリーグと企業との関係について、いくつか面白いものが見えてきました。

上位10クラブのうち9クラブがB.PREMIER

まず、カテゴリーによる差はやはりあります。

1位はアルバルク東京のトヨタ自動車。2位が名古屋ダイヤモンドドルフィンズの三菱電機、3位が秋田ノーザンハピネッツのTDK、4位がシーホース三河のアイシン、5位が群馬クレインサンダーズのオープンハウスグループ。

トップ5はすべてB.PREMIERです。

10位まで広げても、B.PREMIER以外で入っているのは6位の福井ブローウィンズだけ。上位20クラブでも17クラブをB.PREMIER勢が占めています。

今回順位がついたクラブだけで中央値を取ってみると、B.PREMIERの胸スポンサー企業は約1,671億円。B.ONEは約374億円、B.NEXTは約139億円でした。

単純比較はできませんが、最上位カテゴリーほど規模の大きな企業と組んでいる傾向は、数字にもかなりはっきり出ています。

ただ、ここからが面白いところです。

6位に福井。12位には奈良

トップ10で唯一B.PREMIERではないクラブが、福井ブローウィンズでした。

胸スポンサーはサイバーエージェント。売上高は約8,740億円で全体6位です。

さらに12位には、ロート製薬を胸スポンサーとするバンビシャス奈良。18位にはセプテーニ・ホールディングスを胸につける東京ユナイテッドバスケットボールクラブが入っています。

いずれもB.ONEです。

ここを見ると、「上のカテゴリーに行けば大企業がつく」という一方向の関係ではないことが分かります。

クラブのカテゴリー、勝敗、観客動員、地域の市場規模。それだけではスポンサー企業の大きさは決まりません。

企業側がそのクラブに何を感じているのか。

地域との接点なのか、新しい顧客層へのアプローチなのか、経営者同士の関係なのか、あるいはクラブが描いている将来像なのか。

福井が全体6位に入っていることは、このランキングの中でもかなり象徴的です。

B.ONEだから、スポンサー企業もB.ONE規模になるわけではありません。

逆に、千葉Jは40位。琉球は34位

反対方向の例もあります。

千葉ジェッツは40位。胸スポンサーの金太郎ホームは約150億円。

琉球ゴールデンキングスは34位で、全保連が約262億円。

宇都宮ブレックスも27位。栃木銀行の経常収益約546億円という数字でこの順位です。

いずれも、ここ数年のBリーグを代表するクラブです。

だからこそ、この3クラブの順位は重要だと思います。

クラブの強さと、胸スポンサー企業の売上高は比例しない。

人気とも比例しない。

おそらくクラブそのものの事業規模とも、きれいには比例しません。

このランキングだけを見て「40位の千葉Jより10位の横浜BCの方がスポンサー営業で成功している」と判断することはできないということです。

むしろ興味深いのは、「胸」というユニホームで最も目立つ場所を、どんな企業と共有しているか。

そこには各クラブの成り立ちや地域性、企業との関係がかなり表れています。

「スポンサー」という言葉だけでは説明できないクラブもある

もうひとつ、このランキングを見るときに考えておきたいことがあります。

すべてを同じ「スポンサー」という言葉で括っていいのか、という点です。

例えば1位のアルバルク東京。運営会社の株主にはトヨタ自動車が入っています。

5位の群馬クレインサンダーズも、運営会社はオープンハウスグループのグループ企業です。

4位のシーホース三河も、アイシンの公式企業サイトでグループ企業として掲載されています。

つまり上位には、一般的な意味での「クラブが営業して獲得したスポンサー」という関係だけでなく、資本や企業グループとして深いつながりを持つケースも含まれています。

そう考えると、このランキングはスポンサー営業力の順位というより、「クラブの背後にどのような企業がいるのか」を見るランキングでもあります。

地方クラブでは「地域の顔」が胸にいる

一方で、いかにもBリーグらしいと感じたのが地方銀行の存在です。

レバンガ北海道は北洋銀行で14位。

島根スサノオマジックは山陰合同銀行で15位。

宇都宮は先ほど触れた栃木銀行で27位です。

売上規模だけを考えれば、東京の巨大企業をスポンサーとして連れてきた方が順位は上がります。

でも、プロスポーツのスポンサーはそれだけではありません。

地域で日常的に利用され、企業名を知らない人がほとんどいない銀行が、地元クラブの胸に入っている。

これは全国的な企業規模とは別の強さです。

特にBリーグは「地域密着」を長く掲げてきました。

クラブ名を聞けばスポンサー企業が浮かび、スポンサー企業を聞けば地域が浮かぶ。

北海道と北洋銀行、島根と山陰合同銀行、宇都宮と栃木銀行という組み合わせには、企業売上高だけでは測れない説得力があります。

上位には製造業が目立った

業種にも特徴がありました。

上位4社はトヨタ自動車、三菱電機、TDK、アイシン。

いずれも日本を代表する製造業です。

そこに不動産のオープンハウスグループ、ITのサイバーエージェント、ヒューリック、ダイフク、SCREENホールディングス、興和と続きます。

Bリーグはこの10年間でIT企業やスタートアップとの接点をかなり増やしてきましたが、ユニホームの最も大きなスポンサー枠を見ると、日本のプロスポーツを長く支えてきた製造業の存在感は今も大きい。

ここも興味深いところです。

「大企業がついているクラブ=強いクラブ」ではない

48クラブを並べてみて、結局いちばん強く感じたのはこれでした。

スポンサー企業の規模だけでは、クラブの価値は測れない。

例えば40位の千葉J、34位の琉球、27位の宇都宮。

この3クラブを見て、「スポンサーに恵まれていないクラブ」と感じる人はほとんどいないでしょう。

逆に、数千億円規模の企業が胸についているからといって、そのクラブのスポンサー収入が何十億円もあるわけでもありません。

今回のランキングで使っているのはスポンサー企業の売上高であって、スポンサー料ではないからです。

だから、このランキングの面白さは順位そのものより、その「ズレ」にあるように思います。

クラブの強さ。

カテゴリー。

観客数。

地域人口。

企業規模。

その5つが、思ったほど同じ方向を向いていません。

そこにBリーグのスポンサー事情の面白さがあります。

B.PREMIER時代、見るべきは「1社の大きさ」だけではない

2026-27シーズンからBリーグはB.PREMIER、B.ONE、B.NEXTという新しい時代に入りました。

これからクラブの事業規模はさらに大きくなっていきます。

そうなったとき、大企業1社が胸についていることはもちろん大きな武器です。

ただ、それと同じくらい重要になるのは、その下にどれだけ多くの企業が参加しているかではないでしょうか。

売上高1兆円の企業が1社いるクラブ。

売上高100億円の地域企業が100社参加しているクラブ。

どちらがプロスポーツクラブとして強いのか。

答えは簡単ではありません。

胸スポンサーを見ると、そのクラブを象徴する1社が見えます。

でも、その後ろにはユニホームの背中、パンツ、アリーナ看板、冠試合、地域パートナーなど、何十社、何百社という企業との関係があります。

今回のランキングは「大きな企業を連れてきたクラブはどこか」を見るだけでも楽しめます。

ただ、そこからもう一歩踏み込んで、

「なぜ、この企業がこのクラブの胸にいるのか」

と考えてみる。

そうすると、順位表だけでは見えない各クラブの成り立ちや地域との関係まで、少し見えてくる気がします。

※本記事のランキングは、2026年9月6日時点で確認できたB.PREMIER・B.ONE・B.NEXT全55クラブの胸スポンサーを対象に、スポンサー企業が公表している直近決算の売上高(銀行は経常収益)をもとに独自集計したものです。売上高非公開またはスポンサー企業を特定できなかった7クラブはランキング対象外です。また、企業売上高はスポンサー料や協賛金額を示すものではありません。