クラブ紹介 vol.2 B.PREMIER・北から順に

秋田ノーザンハピネッツ

2026-27シーズン開幕ロースターを一挙紹介。編集部が戦力の見どころをまとめます。

2026-27シーズン ロースター
#選手名POSメモ
2栗原翼PG/SG残留
5田口成浩SG残留ベテランシューター
6赤穂雷太SG/SF残留
7堀田尚秀SG残留
10ヤニー・ウェッツェルC/PF残留得点・リバウンドともにチームトップ
12元田大陽SG残留
17中山拓哉PG/SG残留司令塔
18岩屋頼PG残留
アンジェロ・チョルPF残留
トロイ・マーフィージュニアSF新加入SR渋谷から
ジャオバイチンC新加入CBAドラフト2位・Bリーグ初挑戦
マーク・スミスPG/SG新加入長崎から復帰
小松亮太PG/SG新加入ユース育成特別枠・秋田市出身

スティーブン・イノック選手は、メディカルチェックの所定の手続きを完了できず選手登録に至らなかったため、2026年9月3日にクラブが契約解除を発表しています。上の一覧には含めていません。

編集部の戦力分析

北から順にお届けしているB.PREMIERクラブ紹介。第2回は秋田ノーザンハピネッツです。

ホームアリーナは秋田市八橋本町のCNAアリーナ☆あきた。2026-27シーズンはB.PREMIER東地区を戦います。

昨季は10勝50敗。失ったのは「秋田らしい守備」だった

2025-26シーズンは10勝50敗、勝率.167。東地区13クラブの最下位でした。

60試合で4396得点。1試合平均73.3得点はリーグでも最低水準です。

それ以上に気になるのが失点でした。

5132失点。1試合平均85.5点。

前年の2024-25シーズン、秋田の平均失点は74.6点でした。

10.9点。

わずか1シーズンで、これだけ失点が増えています。

秋田といえばディフェンス。

相手に簡単なシュートを打たせず、リバウンドへ身体をぶつけ、ルーズボールに飛び込む。派手ではなくても、40分間しつこく相手を苦しめる。

長くクラブのアイデンティティになってきた部分です。

ところが昨季は、そこが数字から消えてしまいました。

得点は前年の73.0点から73.3点。ほぼ変わっていません。

つまり、28勝32敗だったチームが10勝50敗まで落ち込んだ最大の理由を探すなら、オフェンス以上にディフェンスを見るべきでしょう。

得失点差は-736。

1試合平均にすると約12.3点のマイナスでした。

ホームとアウェーの差も極端です。

CNAアリーナ☆あきたでは8勝22敗。

アウェーでは2勝28敗でした。

30試合を戦って、敵地でわずか2勝。

これは確かに今季改善しなければならない数字です。

ただ、「ホームでは戦えていた」と言うには8勝22敗も十分に厳しい。

昨季の秋田は遠征だけで苦しんだのではありません。

ホームでもアウェーでも、勝つための基準そのものを失っていた。

まずはそこから見た方が、この10勝50敗という成績を正確に捉えられると思います。

ダウナーHCにとって、本当の1年目が始まる

ヘッドコーチはミック・ダウナー氏が続投します。

秋田には2023年からアシスタントコーチとして加わり、2025年にはアソシエイトヘッドコーチへ。

そして昨年12月25日、前田顕蔵HCの退任を受けてヘッドコーチに昇格しました。

つまり昨季は、自分で作ったチームをシーズンの最初から率いたわけではありません。

すでに走り始めていたチームを途中で引き受けました。

今季は違います。

選手編成からプレシーズン、開幕準備まで、自分の考えを最初から落とし込める。

ダウナーHCを評価するなら、むしろ今季が本当の1年目と言っていいでしょう。

経歴を見ると、2019年にはニュージーランドNBLのカンタベリー・ラムズを率い、コーチ・オブ・ザ・イヤーを受賞。オーストラリアNBLでも長くアシスタントコーチを務めてきました。

昨季途中で求められたのは、崩れたチームを何とか立て直すこと。

今季求められるのは、自分のチームを作ること。

似ているようで、仕事はまったく違います。

「外国籍総入れ替え」ではない。残した軸と、新しく足した武器

今季の編成を「外国籍選手の総入れ替え」と見るのは少し違います。

昨季平均15.8得点、8.4リバウンドを記録したヤニー・ウェッツェル選手は残留。

アンジェロ・チョル選手も3年契約を結び、秋田に残りました。

そのうえで加えたのがマーク・スミス選手です。

193cm、102kgのPG/SG。

2024-25シーズンに長崎ヴェルカでプレーしたため、Bリーグは初めてではありません。その後ドイツへ渡り、今季再び日本へ戻ってきました。

クラブがスミス選手獲得時に挙げた課題は明快でした。

昨季は平均73.3得点。60試合のうち26試合で70点以下。

つまり秋田らしいディフェンスを取り戻すだけでなく、攻撃そのものにも変化が必要でした。

サイズのあるガードで、自らボールを運べる。得点も作れる。

昨季の秋田になかったものを補う選手と考えた方が分かりやすそうです。

アジア特別枠には中国出身、205cmのジャオ バイチン選手が加入しました。

2021年のCBAドラフト2位。

上野経雄GMは、最大の武器として3ポイントシュートを挙げています。

205cmの選手が外へ広がれる。

さらにリバウンドにも飛び込み、ディフェンスでも動ける。

B.PREMIERでオンザコートの自由度が上がる中、使い方の幅を持たせる補強です。

日本人登録では、サンロッカーズ渋谷からトロイ・マーフィージュニア選手が加入しました。

193cmのSG/SF。

数字だけを見れば、昨季は49試合で平均3.5得点です。

ただ、秋田が期待しているのは得点だけではありません。

フィジカル、トランジションでのスピード、そしてディフェンス。

クラブ自身が「秋田のディフェンス」を取り戻すためのピースとして名前を挙げています。

リーグ登録国籍が日本ということも、B.PREMIERのロスターを考えれば大きな意味を持ちます。

イノックは契約解除。開幕直前に変わったフロントコート

このオフには、予定通りに進まなかったこともありました。

秋田は208cmのスティーブン・イノック選手と契約していました。

しかし9月3日、クラブは契約解除を発表。

メディカルチェックで慎重な確認を要する事項があり、選手登録に必要な手続きを完了できなかったことを理由としています。

そして翌9月4日には、アンジェロ・チョル選手がインジュアリーリストから抹消されました。

つまり現時点では、当初発表されていた14人の形ではありません。

ウェッツェル、チョル、スミス。

そこにアジア特別枠のジャオ バイチン。

開幕直前にフロントコートの構成が変わったことも、今季序盤を見るうえでは覚えておきたいところです。

クラブ初の「ユース育成特別枠」

もうひとり、今季の秋田を語るうえで外せない選手がいます。

小松亮太選手です。

秋田ノーザンハピネッツU18からトップチームへ。

クラブ史上初めてユース育成特別枠として登録されました。

2008年生まれ。

高校3年生です。

すぐに何分プレーするのか、何点取るのか。

そこだけでこの登録を見る必要はないと思います。

秋田は長く「県民球団」を掲げてきました。

そのクラブが自分たちのユースで育てた選手を、B.PREMIER初年度にトップチームへ送り出す。

これは勝敗とは別のところで大きな意味を持つ出来事です。

アカデミーを作るだけでは育成とは言えません。

その先にトップチームへの道がある。

小松選手は、その道を最初に通る選手になりました。

「ORAHO」という言葉を掲げた理由

キャプテンは田口成浩選手。

副キャプテンには中山拓哉選手、ヤニー・ウェッツェル選手、赤穂雷太選手の3人が就きます。

日本人だけでなく、ウェッツェル選手が副キャプテンに入ったのも興味深いところです。

ただ、それ以上に今季の秋田を象徴しているのは、8月2日に発表されたクラブフィロソフィかもしれません。

「ORAHO(おらほ)」

秋田の言葉で「私たち」を意味します。

クラブ創設以来掲げてきた「県民球団」という考え方を、B.PREMIERという新しい時代に合わせて、もう一度言葉にしました。

昨季は10勝50敗。

成績だけ見れば、クラブにとって非常に苦しい一年でした。

だからこそ新しいリーグが始まるタイミングで、「強くなる」より先に「自分たちは何者なのか」を確認した。

そう考えると、ORAHOという言葉にも少し違った重みが出てきます。

編集部の見どころ

今季の秋田で最初に見たいのは、勝敗よりもディフェンスです。

昨季85.5点だった平均失点が、どこまで下がるのか。

もっと言えば、相手が秋田と戦ったあとに「嫌なチームだった」と感じるようになるか。

そこだと思います。

一昨季の秋田は平均74.6失点。

昨季は85.5失点。

約11点違います。

10勝からいきなり優勝争いへ、という話をする前に、この11点をどこまで取り戻せるのか。

秋田再建の出発点はそこです。

一方で、守るだけでは今のB.PREMIERを勝ち抜けません。

昨季は26試合で70点以下。

ウェッツェル選手だけに得点を背負わせるのも厳しい。

そこで入ったのがスミス選手であり、ジャオ選手であり、マーフィーJr.選手です。

「守備を取り戻す」と「攻撃を変える」。

今季の秋田は、この二つを同時に進める必要があります。

そして、アウェーです。

2勝28敗という数字を無視することはできません。

ただ、遠征の仕方だけを変えれば解決する問題でもないでしょう。

守備の基準が戻り、苦しい時間帯でも自分たちの形に戻れるようになれば、結果としてアウェーの数字も変わってくる。

私はその順番で見たいと思います。

TOHOKU CUPでは仙台に25点差。その相手と開幕戦

開幕直前の第14回TOHOKU CUP。

秋田は準決勝で福島ファイヤーボンズと対戦しました。

延長の末、105-98。

マーク・スミス選手が29得点、ウェッツェル選手は21得点18リバウンド。

昨季平均73.3点だったチームが105点を取ったことは、一つの材料になりました。

ただし翌日の決勝。

仙台89ERSには55-80で敗れました。

前半は32-30と秋田がリードしていました。

ところが第3クォーターだけで11-34。

一気に試合を持っていかれています。

そして、その仙台と2週間後にもう一度戦います。

9月26日(土)14時05分。

会場はゼビオアリーナ仙台。

翌27日(日)も同じ東北ダービーです。

プレシーズンだから、と片付けることもできます。

でも10勝50敗から出直すチームにとって、直前に25点差で負けた相手との再戦ほど分かりやすい開幕戦もありません。

TOHOKU CUPの第3クォーターで起きたことを、2週間でどこまで修正できるのか。

「秋田のディフェンス」は戻ってきたのか。

B.PREMIERでの最初の40分は、その答えを見る試合になりそうです。

選手情報・成績はB.LEAGUE公式サイトおよび秋田ノーザンハピネッツ公式サイトの発表をもとに作成。勝敗・得失点は2025-26シーズンのB1順位表(B.LEAGUE公式)の数値です。戦力分析は編集部の見解・予測であり、客観的な事実の報道ではありません。