クラブ紹介 vol.3 B.PREMIER・北から順に

仙台89ERS

2026-27シーズン開幕ロースターを一挙紹介。編集部が戦力の見どころをまとめます。

2026-27シーズン ロースター
#選手名POSメモ
3岡島和真PG残留
7船生誠也PG/SG残留
8ジャレット・カルバーSG/SF残留前季得点王(平均26.5得点)
9セルジオ・エル ダーウィッチSG残留
10ジェイク・レイマンSF/PF新加入三河から
14杉浦佑成SF残留
15渡辺翔太PG残留
23半澤凌太SF残留
24新沼康生SF残留
32シェーファーアヴィ幸樹C新加入三河から・日本代表候補
45ネイサン・ブースPF/C残留
91片岡大晴SG新加入さいたまブロンコスから・宮城県出身の復帰
96阿部真冴橙PG/SG残留U22枠
編集部の戦力分析

北から順にお届けしているB.PREMIERクラブ紹介。第3回は仙台89ERSです。

ホームアリーナは、仙台市太白区あすと長町のゼビオアリーナ仙台。2026-27シーズンはB.PREMIER東地区を戦います。

昨季は35勝25敗。それでも届かなかった

2025-26シーズンは35勝25敗、勝率.583で東地区6位。

総得点4967、総失点4790。得失点差は+177でした。

勝率は6割近く。得失点差もしっかりプラス。それでも、チャンピオンシップに仙台の名前はありませんでした。

東地区から進出したのは45勝の宇都宮ブレックス、42勝の千葉ジェッツと群馬クレインサンダーズ、41勝のアルバルク東京。

仙台は35勝。

悪いシーズンではありません。むしろ十分に勝っています。

ただ、上を見ると6勝の差があった。

昨季の仙台を表すなら、この「強かった。でも、まだ足りなかった」という表現が一番近いように思います。

特に強かったのがホームです。

ゼビオアリーナ仙台では21勝9敗。勝率7割を残しました。

一方、アウェーは14勝16敗。

ホームでは勝ち切れる。でも場所が変わると負けが先行する。この差をどこまで縮められるかは、今季40勝台を狙ううえでも避けて通れません。

そして昨季の仙台には、もうひとつ大きな特徴がありました。

ジャレット・カルバー選手です。

平均26.5得点でB1得点王。レギュラーシーズンベストファイブにも選ばれました。

個で試合を動かせるリーグ屈指のスコアラーを擁しながら、チャンピオンシップには届かなかった。

だから今季必要なのは、チームを一から作り直すことではありません。

カルバー選手という大きな武器を残したまま、その周囲をどう強くするか。

仙台のオフは、かなり明確な方向を向いていました。

新加入は3人。そのうち2人を三河から獲得

今季のロスターは13人。

大幅な入れ替えではありません。

新加入はシェーファー アヴィ幸樹選手、ジェイク・レイマン選手、片岡大晴選手の3人です。

まず目を引くのが、シーホース三河から加わった2人でしょう。

206cmのシェーファー選手は、三河で6シーズンを過ごした日本代表経験を持つセンターです。

昨季は53試合に出場。平均プレータイムは13分30秒でしたから、単純に個人成績だけを見て「大型補強」と表現するタイプではありません。

それでも、日本人登録の206cmというサイズには大きな価値があります。

特にB.PREMIERではロスター編成の自由度が上がります。外国籍選手とは別に、日本人ビッグマンを置ける意味はこれまで以上に大きくなるでしょう。

そして、もう一人がジェイク・レイマン選手です。

こちらも三河からの加入。

206cmのSF/PFで、昨季は59試合すべてに先発し、平均15.7得点、6.4リバウンド。3ポイント成功率は40.3%でした。

サイズがありながら外からも打てる。

カルバー選手がボールを持ったとき、相手ディフェンスが収縮すればレイマン選手が外で待てる。逆にレイマン選手を警戒して広がれば、カルバー選手のドライブスペースができる。

この2人がどう共存するかは、今季の仙台を考えるうえでかなり楽しみなところです。

しかも、シェーファー選手とレイマン選手には共通点があります。

ダン・タシュニーHCです。

タシュニーHCは仙台に来る前、2023-24シーズンから2年間、三河でアシスタントコーチを務めていました。

つまり2人とも、タシュニーHCがどんなバスケットを考え、何を選手に求めるのかを知っている。

昨季から継続するシステムの中に、指揮官を知る選手が2人同時に入ってくる。

これは新加入選手の名前以上に重要なポイントかもしれません。

もう一人の新加入は片岡大晴選手。

仙台市出身で、2015-17シーズン、2019-25シーズンにも仙台でプレーした「ソルジャー」が戻ってきました。

昨季はモンゴルのDarkhan United、さいたまブロンコスでプレー。

40歳を迎えるシーズンになりますが、クラブや地域を知り尽くしている選手の復帰は、数字だけでは測れない意味を持ちます。

得点王を残せたことが、一番大きい

新加入選手に目が向きがちなオフですが、仙台の場合、それ以上に重要だったのは残せた選手でしょう。

カルバー選手は残留。

ネイサン・ブース選手も残りました。昨季はベストFT成功率賞を獲得しています。

さらに渡辺翔太選手、船生誠也選手、岡島和真選手、セルジオ・エル ダーウィッチ選手、杉浦佑成選手、半澤凌太選手、新沼康生選手らも継続。

そしてクラブのU18から育った阿部真冴橙選手が、今季からU22枠選手として正式にプロキャリアをスタートさせます。

一方で、ブーバカー・トゥーレ選手、井上宗一郎選手、荒谷裕秀選手が退団しました。

つまり仙台は、昨季35勝を挙げたチームの中心を残しながら、必要な部分だけを入れ替えています。

得点王カルバーを残し、レイマンという平均15点以上取れるフォワードを加え、日本人ビッグマンのシェーファーを補強した。

派手に人数を動かしたクラブではありません。

でも、かなり狙いの見える編成です。

「ダンダンよくなる」から「爪あと残せ」へ

ヘッドコーチはダン・タシュニー氏が続投します。

昨季から仙台を率い、就任1年目で35勝。

チャンピオンシップには届きませんでしたが、クラブ自身が昨季掲げていた「ダンダンよくなる」という言葉の通り、シーズンを通してチームを積み上げてきました。

その指揮官が今季も続ける。

ロスターの大半も残る。

継続性という点では、今季の仙台はかなり恵まれています。

8月15日にはキャプテンも発表されました。

渡辺翔太選手とネイサン・ブース選手。

昨季に続いて、この2人がキャプテンを務めます。

同じ日に発表されたシーズンスローガンが、

「爪あと残せ ~Bプレミア初代王者へ~」

です。

仙台が長く大切にしてきたクラブフィロソフィ「GRIND」。

粘り強く、泥臭く、簡単には諦めない。

その考え方を、B.PREMIER初年度に合わせてもう一段強い言葉にしたのが「爪あと残せ」なのだと思います。

昨季東地区6位だったクラブが、いきなり「初代王者」を掲げる。

大きく出た、と感じる人もいるかもしれません。

でも、35勝したチームが得点王を残し、そこへレイマンとシェーファーを加えた。

そう考えれば、ただ威勢よく掲げただけの目標でもありません。

少なくとも「チャンピオンシップに出られればいい」と考えているチームではないことは伝わってきます。

編集部の見どころ

今季の仙台について、まず見たいのは守備です。

昨季の4790失点は、東地区で4番目に少ない数字でした。

つまり、もともと守れないチームではありません。

必要なのは、守備を一から作り直すことではなく、あと一段上げること。

1試合でひとつ余計にリバウンドを取れる。

ゴール下でひとつ余計にシュートを落とさせる。

ルーズボールをひとつ多く拾う。

35勝から41勝へ。

昨季の東地区4位だったA東京との差は6勝でした。

60試合すべてで劇的に変わる必要はありません。接戦だった試合を数試合、仙台側へ持ってくればいい。

シェーファー選手の加入を見ると、クラブがその数試合をどう拾おうとしているのかが少し見える気がします。

ただ、個人的にはそれ以上に注目したいのがオフェンスです。

昨季の仙台にはカルバー選手という絶対的な得点源がいました。

平均26.5得点。

これは強烈です。

その一方で、相手からすれば「まずカルバーをどう止めるか」という守り方もできました。

そこに今季は、昨季平均15.7得点、3P成功率40.3%のレイマン選手が入ります。

さらにブース選手も残る。

カルバー選手にどこまで背負わせるのか。

逆に言えば、カルバー選手がそれほど背負わなくても勝てるチームになれるのか。

そこが、35勝から先へ進むための一番大きなポイントではないでしょうか。

開幕戦の相手は、TOHOKU CUP決勝と同じ秋田

開幕を前に、仙台はひとつ結果を残しました。

9月13日にゼビオアリーナ仙台で行われた第14回TOHOKU CUP決勝。

相手は秋田ノーザンハピネッツでした。

結果は80-55。

25点差で仙台が勝利し、優勝しています。

ただ、スコアだけ見るより中身が面白い。

前半終了時点では30-32。仙台は秋田に2点リードを許していました。

そこから第3クォーター。

34-11。

一気に23点の差をつけ、試合をひっくり返しました。

そして、その秋田と2週間後にもう一度戦います。

B.PREMIER開幕戦です。

9月26日(土)14時05分、ゼビオアリーナ仙台。

翌27日(日)も同じカードが組まれています。

クラブが「仙台開幕戦」と銘打つ最初の2試合が、いきなり東北ダービー。

しかも相手は、直前のTOHOKU CUP決勝で25点差をつけて勝った秋田です。

仙台には「もう勝った相手」という感覚はないでしょう。

秋田からすれば、今度は公式戦です。

当然、対策もしてきます。

プレシーズンで見せた強さは本物だったのか。

昨季35勝のチームは、B.PREMIERで40勝台へ進めるのか。

「爪あと残せ」と掲げた仙台の最初の一歩として、これ以上分かりやすい相手はいません。

選手情報・成績はB.LEAGUE公式サイトおよび仙台89ERS公式サイトの発表をもとに作成。勝敗・得失点は2025-26シーズンのB1順位表(B.LEAGUE公式)の数値です。戦力分析は編集部の見解・予測であり、客観的な事実の報道ではありません。