B.NEXTクラブ紹介 第2回 4クラブ制のリーグを読む

ウォルガ湘南

2026-27シーズン開幕ロースターを一挙紹介。戦力の見どころをまとめます。

2026-27シーズン ロースター
#選手名POSメモ
2福留 ウィリアムPG新加入
9中野 広大SG残留
10坂本 亮雅PG残留
11神田 壮一郎SG/SF新加入
12ライアン・ローガンPF新加入外国籍徳島から
16石井 智大SG残留
21伊藤 良太PG新加入愛媛から・キャプテン
22イブラヒム・ディアビPF/SF新加入アジア特別枠
25ハイデン・コヴァルC新加入外国籍
27ジャック・アンドリューC新加入外国籍
88重冨 周希PG/SG残留
91髙木 慎哉SG残留副キャプテン

ヘッドコーチは鈴木友貴。登録12人のうち新加入は7人、外国籍3人・アジア特別枠1人。「残留」「新加入」は、B.LEAGUE公式サイトの「クラブ所属履歴」に載る2025-26シーズンの登録クラブと照合して分類しています(シーズン途中に加入した選手は「残留」と表示されます)。バッジはリーグ登録国籍にもとづき、日本以外の国籍を「外国籍」、B.LEAGUEが定めるアジア特別枠の14の国と地域の国籍を「アジア特別枠」、公式に帰化選手と発表されている選手を「帰化選手」としています。

戦力分析

B.NEXTクラブ紹介、第2回はウォルガ湘南です。

昨季までのクラブ名は湘南ユナイテッドBC。2026-27シーズンから「ウォルガ湘南」へ名称を変え、クラブカラーも刷新しました。ホームは秋葉台文化体育館。新しい名前、新しいリーグ、新しいロスター。B.NEXT初年度の4クラブの中で、競技面だけでなくクラブそのものが最も大きな変化を選んだチームです。

ただし、全部をゼロから始めるわけではありません。昨季のB3では20勝32敗。今季B.NEXTを戦う4クラブの中では最も多く勝ったチームでした。

20勝32敗。4クラブの中では「追われる側」

2025-26シーズンは20勝32敗。平均74.8得点、80.6失点。フィールドゴール成功率41.6%、3ポイント成功率31.6%、平均38.8リバウンドでした。

B3全体で見れば負け越しです。しかしB.NEXTの4クラブに限って昨季の勝ち数を比べれば、湘南20勝、山口13勝、しながわ12勝、三重7勝。もちろんロスターは変わり、単純比較はできません。それでも「4クラブの中で昨季最も勝った」という事実は、このチームの立ち位置を決めます。

今季のウォルガ湘南は、再建途上のチームというより、最初から初代B.NEXT王者を狙わなければならない側です。

しかも昨季終盤には、しながわとのアウェー2連戦を76-71、80-75で連勝しています。これも新リーグでは意味を持ちます。同じ相手と何度も戦うB.NEXTでは、昨季の対戦イメージもスカウティングの材料になるからです。

46,522人を集めて、それでもB.NEXTから始める

競技成績以上に、このクラブを語るうえで外せない数字があります。

46,522人。

昨季、クラブが掲げた「4万人プロジェクト」でホームゲームに来場した人数です。B.ONE参入の入場者数基準を超えました。

だからこそ今季のB.NEXTには、少し独特な意味があります。クラブは観客を集め、次のカテゴリーへ向かう事業面の力を示しました。その一方で、新リーグ初年度はB.NEXTから始まります。

クラブ名をウォルガ湘南へ変えたのも、その先を見据えた動きです。「ウォルガ」は人が集まる灯火をイメージした名前。クラブカラーはWOLGA Red。ミッションに「ひとりにさせない」、スローガンに「挑みきれ」を掲げました。

単なる名称変更ではありません。湘南ユナイテッドBCとして積み上げた地域との関係を残しながら、「次はB.ONEへ行くクラブ」として看板を掛け替えた。その初年度です。

バックコートもフロントコートもかなり変わった

ロスターを見ると、名前だけではなくチームも大きく変わっています。

キャプテンは新加入の伊藤良太。愛媛から加わった34歳のポイントガードで、岩手、岐阜、品川など複数クラブを経験してきました。副キャプテンは髙木慎哉。既存組と新加入組の間をつなぐ意味でも、この2人の組み合わせは分かりやすい配置です。

ガードには福留ウィリアム、坂本亮雅、重冨周希。ウイングには中野広大、石井智大、神田壮一郎が並びます。

そして大きく変わったのがインサイドです。ライアン・ローガン、ハイデン・コヴァル、ジャック・アンドリューを加えました。ローガンは昨季徳島でプレーし、B3上位の強度を知る選手。コヴァルはセンター、アンドリューもインサイドを担います。

昨季の平均38.8リバウンドは悪い数字ではありません。ただ、4クラブ制では「サイズで優位を取れる相手」が固定されます。あるカードでインサイドの優位を作れれば、年間16試合にわたって相手へプレッシャーをかけられる。逆に対応されれば、その次の手を用意しなければなりません。

20勝したチームを残したのではなく、20勝から作り直した

ここがウォルガ湘南の面白いところです。

昨季の4クラブ内最高成績だけを見れば、継続路線でも不思議ではありません。それでもクラブは新しい選手を多く加えました。

つまり、昨季20勝を「B.NEXTなら十分」とは考えていないのでしょう。

20勝32敗は勝率4割に届いていません。初代王者を本気で狙い、さらに翌季以降のB.ONEを目指すなら、20勝したことより32敗したことの方を見なければならない。そこから逆算すると、今オフの再編は自然です。

鈴木友貴HCの仕事は、新しい戦力を並べることではありません。昨季までの湘南らしさと、新加入組の能力をどこで接続するか。名前が変わった初年度に、チームまで別物になりすぎれば積み上げを失う。一方で変わらなければ20勝の壁を越えられない。このバランスがシーズン前半のテーマになります。

開幕から三重。「昨季7勝」の数字は忘れた方がいい

開幕は9月25日、津市久居体育館でヴィアティン三重と対戦しました。翌26日も同カードです。

昨季の勝ち数だけなら湘南20、三重7。数字では差があります。ただ、三重はロスターを大きく変え、阿部友和らを加えました。B.NEXT初戦で昨季の数字をそのまま持ち込むのは危険です。

むしろ湘南にとって難しいのは、「勝って当然」という空気をどう扱うかでしょう。4クラブの中で昨季最多勝、事業面では4万人プロジェクトを達成し、リブランドまで行った。注目も期待も集まります。

この状況で開幕から取りこぼすと、相手に「湘南は倒せる」という感覚を与えてしまう。同じ相手と16回戦うリーグでは、その心理的な要素も無視できません。

見どころ

最大のテーマは、ウォルガ湘南という新しい名前に、どれだけ早く「勝つクラブ」という意味を持たせられるかです。

リブランドは最初の数か月なら話題になります。新しいロゴ、新しい色、新しいマスコット、新しいユニフォーム。それだけでも会場へ来る理由は作れます。

ただ、半年後にクラブ名を強くするのはコート上の結果です。

昨季20勝のチームが、新しいロスターで30勝台へ進むのか。4クラブの首位に立つのか。そしてB.NEXTで勝ちながら、46,522人を集めた熱を維持できるのか。

競技と事業の両方で、4クラブの中では最も「次」を明確に見ているクラブです。だからこそ今季は、単にB.NEXTで勝つだけでも足りません。

初代王者を狙いながら、「このクラブはB.ONEへ進む準備ができている」とコートでも示す。ウォルガ湘南の1年は、そこまで含めて評価されるシーズンになります。

選手情報・登録国籍・クラブ所属履歴はB.LEAGUE公式サイトおよび各クラブ公式サイトの発表をもとに作成。勝敗・平均得失点・成功率は2025-26シーズン(B3)の記録、入場者数はクラブ公式の発表による数値です。戦力分析は当サイトの見解・予測であり、客観的な事実の報道ではありません。ロースターは登録変更・インジュアリーリスト等により変動するため、最新の情報は各クラブ公式サイトをご確認ください。